日本でもファンの多い英国の銅版画家グラハム・クラーク氏が精力的に活動していた1980〜90年代の作品で、彼らしいユーモアと郷愁が色濃く感じられる1枚です。 ＜Parrot Fashionストーリー＞ ここはイギリスの港町・ドーバーの片隅。 月の明るい晩、漁を終えた船が戻り、一人の男が古びた小屋の前に腰を下ろしています。 隣には丸いカニ籠、足元には「DOVERS HAKE CRABS PRAWNS（ドーバーではメルルーサ、カニ、エビが獲れます）」と書かれた看板。 木箱が積まれ、港の一日は終わりを迎えようとしています。 中央に描かれているのは、椅子にちょこんと座った一羽のオウムは、まるで彼のための王座のような椅子の上にその場の“主”のような風格を漂わせてとまっています。 すぐそばには、ひっくり返ったボートや、本来なら海に出る道具が、腹を見せて休んでいます。漁師も網もただそこにいるだけ。世界が少しだけ、逆さまになっているようです。 この作品のタイトル《Parrot Fashion》には、「オウム返し」「型どおり」という意味があります。 ここでは“オウムが主役”という、ユーモアと皮肉が込められており、本来は脇役のはずのオウムが中央で堂々と座り、人間や道具たちは静かに脇に置かれ構図がそっとひっくり返っています。 この作品は、私たちにそっと問いかけます。 「当たり前」と思っているこの世界は、本当に正しいのだろうか？ 働くこと、役割、立場、常識など、オウムの目には、どこか不自然で無理のあるものに映っているのかもしれません。 毎日時間に追われ、息をすることすら忘れ、気づけば笑うことも、深呼吸することも後回しになり、立ち止まることに罪悪感さえ抱いてしまう。そんなあなたへ、”Parrot Fashion”は静かに微笑みながら、あなたの凝り固まった世界観をやさしくほぐし、「そのままのあなたでいい」と語りかけてくれます。 作家名：グラハム・クラーク（Graham Clarke） タイトル：Parrot Fashion（パロットファッション） エディション：128/400 サイン：あり（表面に手書き） 額装：あり 額のサイズ：420 x 380 mm 状態：版画は良好（額装内にきれいに保存されています）額の右上に小さな傷あり。 備考：額裏に日本語ラベルあり／銅版画＋手彩色